初心者も安心!技能修得の鍵は実験ガイダンスにあり

本校では、平日の学科には通学できない社会人や大学生等を対象とした、週末(土曜・日曜)開講の
「分析化学応用学科」を設置しています。この学科は、平日の学科で学ぶ専門分野を総合的に学べる
特徴があります。また、週末だけの通学ですが、平日学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に
3つの国家資格(=毒物劇物取扱責任者化粧品製造業責任技術者化粧品総括製造販売責任者)を
「無試験」で取得することができます。

この土日学科に在籍する学生は、高校を卒業後すぐに入学される方はもちろん、社会人の方も少なく
ありません。社会人の方は、現職でのスキルアップや技術職への転職を考えている方、事業の拡大を
考えている経営層の方以外に、大学生が就職活動を見据えて技術力を高める目的で入学しています。
環境・材料・バイオ・食品・医薬品・化粧品・有機合成などについて総合的に学ぶことができるので、
就きたい仕事の業界が決まっていない方が、学習しながらその方向性を決めていくこともできます。
このように多様な目的に対応するため、このコースは学年定員20名の少数精鋭で開講しています。

2年生は午後から実験でしたが、「ガスクロマトグラフ」という分析機器の取り扱いを学びました。
この機器は、気体になりやすい成分の分析に用いられる機器で、どのような成分が含まれているか
(定性分析)、どれだけ含まれているか(定量分析)を調べることができます。化粧品や香料等に
含まれるかおり成分や、塗料に含まれる揮発成分、環境水中に含まれる農薬、ガソリンに含まれる
有害物質の分析、また医薬品の安全性検査など、この分析機器を必要とする業界も多種多様です。
2年生たちは現在の仕事や、就職・転職する分野での活用を考えながら実験に取り組んでいました。

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場所は変わって1年生の教室です。1年生は実験のガイダンスを受講していました。本校の特徴に
「実験中心のカリキュラム」がありますが、本校に入学する学生の多くは本格的に化学を学ぶのが
初めてという学生です。実験の内容は授業ともリンクしていますが、どのような器具・機器を使い、
どのような操作をし、何を調べるのか、そしてその実験からどのようなスキルが修得できるのかを
説明する「実験ガイダンス」を実施しています。このガイダンスによって、いざ実験!となっても、
“何をすればいいのか分からない”“どのように進めればいいのかわからない”等といったことが
なくなり、理解すべき知識や、修得すべき技術を一つひとつ確認しながら取り組むことができます。

ガイダンスが実施された実験内容の一つは、創製から約120年経過している今でも医薬品に使用
されている成分の合成です。その成分は「アスピリン(アセチルサリチル酸)ですが、この起源は
ある種のヤナギの成分で、歴史的にはギリシア時代にまでさかのぼると言われています。最終的に
1897年、ドイツのバイエル社アスピリンの創製に成功するまで、苦さや胃の粘膜を損傷する
副作用がない成分開発の研究が続いたと言われています。19世紀以降、今もなお使用されている
歴史ある医薬品成分の合成に1年生は後日チャレンジします。

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M木先生(=上の写真)は、アスピリンを含有する有名な商品を手にしながら説明していました。
実験の様子は、またこのブログで紹介しますが、難しそうに思える実験も身近な商品に深く関係し、
実験ガイダンスを通じて興味や楽しみへと変化しますので、化学を初めて学ぶ方も無理なく学べ、
確実に知識や技術が身についていくのだと思います。2年生も、これまでにガイダンスと実験とを
繰り返して、レベルアップしてきたのです。1年生の皆さん、これからも楽しみながら分析化学を
学んでいきましょう。

by あずみ

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