備えあれば憂いなし 〜人の生命、そして環境をまもる訓練〜

今日は、火災や緊急事態への対応をしっかりと身に付けるべく、防火訓練と緊急事態への対応訓練を実施しました。本校の学生は、分析化学を核として学び、材料・環境・医薬品・化粧品・食品・化成品・自動車・・・ 等々、多岐の分野に就職していきます。しかしながら、研究開発や品質管理などの仕事は、化学薬品を取り扱い、化学反応を駆使して進めるため、火災や緊急事態への対応スキルを身に付けておくことが必須となります。

自分そして周囲の人命を守る 火災時の避難と初期消火!

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先ずは、実験室で火災が発生したことを想定した避難訓練。授業中・実験中に警報ベルが鳴り、緊急放送によって本校近くの公園に避難するように指示がありました。実験室では使用していた火を消火して直ちに、また教室からは非常口からの避難が開始されました。避難場所に指定された公園では、担任によって全員が避難できたかどうかの点呼が行われました。


本校のすくろーす先生から、全員が避難できたかどうかを確認することや、避難が遅れた人を救う上でも、その確認を短時間で行うことが最重要であることの指摘があり、担任が点呼を行う際に、学生組織やそれぞれがどう動くべきか?という問いかけもありました。また、日常から学生たちが実践している実験廃棄物や実験廃液の分別も、火災を予防する意味があり、全員が確実に実行することが大切であると、併せて説明がありました。学生だけではなく、教職員もそれぞれが、どうすべきか考える機会になりました。


この避難訓練に立ち会っていただいた、大阪北消防署員からは次のように、講評をいただきました。
『家庭と比べて、消防法の危険物を取り扱う人は、火災に遭遇する可能性が高い。だからこそ、火災が生じた際の対応は確実に理解しておく必要があります。火を止めることはもちろん、周囲に火災を伝えること、最後の避難者は防火扉を閉めることを忘れないように。火災時には停電が同時に起こり、周囲が煙で見えないことも通常です。その際には誘導灯(非常口マーク)を見つけてその方向へ向かうこと。また、小規模な火災の場合には、消火器や消火栓を使用して初期消火することも必要となります。』

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したがって、次は小規模な火災の初期消火についての訓練が実施されました。消防設備関係のプロから、ABC消火器の取り扱いについて説明していただきました。この消火器は小型ボンベに圧縮した二酸化炭素で消化剤を噴霧するもので、消化剤が噴出する時間がわずか15秒程度であること、それだけに慌てず、焦らず、正しい方法で使用することが大切であることが強調して説明されました。訓練は、通常の粉末消化剤ではなく、水が充填された水消火器での訓練です。消火器の使い方はもちろん、火そのものではなく火元を狙うことなどのポイントを併せて学びました。

環境汚染を防ぐことも分析化学者の使命!

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最後に、緊急事態への対応として、その予防方法・緩和方法について説明を実施しました。ここでいう緊急事態とは、実験中に使用する化学薬品が公共下水道に流出することをいいます。現在、どのような企業でも環境に配慮した経営活動が求められていますが、本校は平成12年8月に学生の教育的観点からも、環境管理の国際規格であるISO14001の認証を取得しています。化学薬品が公共下水道に流出すると、重大な環境汚染を引き起こします。企業においても、このような環境事故を発生させないように予防策を施すこと、また事故が生じた場合でも環境への影響を最小限に留めるための緩和策を予め用意し、備えておくことは、企業が社会的責任を果たす上でも重要といえます。分析化学者の卵である学生も、化学薬品を取り扱う一人の技術者として、身に付けておくべきスキルなのです。学生は、説明を真剣に聴き入っていました。

全ての訓練の後、生命バイオ分析学科2年生のI君に感想を聴きました。
『昨年度に一度経験したことなので、全てにおいて実践できると考えていましたが、避難後の点呼時に学生自治会や、個人としてでも何かできることがあったのでは?と、自身の行動を振り返って詰めが甘いと実感しました。』

火災や緊急事態への危機意識については、「備え過ぎる」ということは絶対にありません。今日の訓練で学生それぞれが感じたことを学生生活のみならず、将来の仕事にも活かして欲しいと強く思います。

by あずみ