授業でのイメージを実験で確かめる!

週末(土曜日・日曜日)だけの通学で、化学分析の知識・技術が修得でき、平日の学科と同様に
2年間で卒業できる(卒業と同時に取得可能な国家資格も全員が取得できる)化学分析コース。
このコースは定員20名の少人精鋭で、技術職への転職や再就職、現職におけるスキルアップや、
国家資格の取得、事業の拡大等を目的とした社会人や大学生が、全国各地から通学しています。

授業で原理を学び、実験で確かな技能に!

今日は午後から実験、1年生は「応用分析化学実験」に取り組みました。この実験は、
これまでに身に付けてきた分析技術を応用して、食品成分や、河川水の汚濁成分等を
実際に測定する実験です。これまでの実験は、1グループ3人〜4人で実験を進めて
きましたが、この実験では一人に一つのサンプルを分析し、全て自分自身でデータを
出していきますので、入学してからどれだけの技術が身に付いたのか、客観的に確認
することもできます。

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今日の実験では、市販されている調味料に含まれる成分の濃度を分析しました。その
調味料は「醤油」、分析成分は「塩分」です。今日は、濃口醤油・薄口醤油の塩分を
測定して比較しました。色の薄い薄口醤油は、塩分が少なそうに見えますが、実際に
使用されている食塩は濃口醤油と比較して1割程度多いと言われています。化学分析
コースの学生は、全国各地から登校しているため、それぞれが普段住んでいる地域で
主に使用する醤油の話題で盛り上がりました。一般的には、関東では主に濃口醤油が、
関西では薄口醤油が使われていると言われますが、その理由の一つとして、関東では
塩分の量を食べ物の色で見分ける傾向があり、関西では色の薄い食べ物を好む特徴が
挙げられています。

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測定方法は、講義で原理を学んだばかりの沈殿滴定です。食品や飲料水、環境水中の
塩分測定でよく使用される方法です。この沈殿滴定にはいくつかの方法がありますが、
そのうち2つの方法で即提訴行いました。そのうちの一つは、蛍光ペンや入浴剤にも
使用される蛍光色素を使用する方法(ファヤンス法)ですが、身近な製品に使われる
成分が分析化学に応用されていることに、学生たちは面白みを感じたようです。

実験後、平日は洗剤等の化成品開発の仕事をしているT君(上写真)に感想を聞いてみました。
『今日の実験については、その原理を講義(分析化学)で学んでいましたが、分子レベルでの
 説明ですのでイメージしにくいことがあります。実際に実験してみて、その時の講義内容が
 より理解できたと思います。また、醤油といった身近なものを試料として分析できたことは
 興味深かったですし、一人で分析してみて入学してから知識と技術が身に付いてきたことを
 実感することができました。』

今日は醤油という調味料の成分を分析しましたが、本校の卒業生にはミシュランシェフも愛用し、
モンドセレクションで金賞を受賞する醤油の製造企業を経営している方もいます。
(→ 過去のブログ「カリスマ分析化学者、世界一を目指す」をご覧下さい。)

分析化学の実務に不可欠な原理などの知識は授業で学び、それを実際に実験することによって、
確かな技術を身に付け、技能を高めていく・・・、この循環を繰り返して、近い将来上記の先輩の
ように、それぞれが進む分野で活躍して欲しいと強く思います。

by あずみ