卒業研究に向けて!

本校では、平日の学科には通学できない社会人や大学生等を対象とした、週末(土曜日・日曜日)
開講の「化学分析コース」を設置しています。週末だけの通学となりますが、平日の学科と同様に
2年間で卒業でき、毒物劇物取扱責任者化粧品製造業責任技術者化粧品総括製造販売責任者
国家資格を卒業と同時に取得することができます。このコースに在籍する学生のほとんどは社会人
ですが、現職でのスキルアップや技術職への転職を入学目的とされる方、事業の拡大を考えている
経営層の方以外に、就職活動を見据えて技術力を高める目的で入学される大学生も在籍しています。
在校生の多種多様な入学目的を達成するために、このコースは20名の少数精鋭で開講しています。

卒業研究 最も重要な第一歩!

今日は、1年生・2年生ともに午後から実験でしたが、2年生はその前に卒業研究に
関するガイダンスを実施しました。平日学科・コースの学生たちと同様に、化学分析
コースの学生も卒業研究に取り組みますが、その計画立案を始める時期となりました。
どのようなテーマに取り組むか、研究目的は何か、研究方法の具体的なプロセスは、
必要な器具・試薬は・・・。研究には成果が求められますが、その成果を得るためにも、
また本校を卒業して社会で研究などに従事することを考慮しても、計画立案の段階は
この卒業研究を行う上で最も重要なプロセスの一つになります。

今日のガイダンスでは、卒業研究に関する全体的なスケジュールの説明と、テーマを
選定するための参考として、このコースで卒業研究を指導するM先生と、私あずみの
専門分野・研究テーマについてプレゼンテーションを実施しました。3月に卒業した
先輩たちの卒業研究発表会(→その日の様子はこちらへ)以降、学生それぞれがどの
ような研究に取り組みたいのかを考えてきましたので、具体的な内容について多くの
質問がありました。

充実した卒業研究になるか否かは、研究テーマの選定とその研究目的に左右されます。
今が最も重要なステップの一つです。よく考えてテーマを選定して欲しいと思います。

実験を通して理論が「なるほど!」に

ガイダンスの後、2年生は機器分析実験に取り組みました。今日、使用する機器類は
pH計と紫外可視分光光度計です。ただし、本日のテーマは、1年生の時に実施した
定性分析(何が含まれているのかを調べる)や、定量分析(調べたい成分がどれだけ
含まれているのかを調べる)ではなく、分析化学で良く使用される定数の測定です。

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その定数とは「酸解離定数」。溶液に存在している化学種の割合や、物質の結合比を
求める際によく使われる定数です。計算問題を解く場合には、条件として与えられる
定数ですが、これを実験によって実際に求めてみました。といっても、特殊で難しい
測定を行うわけではなく、これまでに学んだ方法で、条件をいくつか変化させて測定
(連続測定)することにより、この定数を求めることができるのです。

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実験後、Yさん(左の写真 右の女性)から次のような感想がありました。

 『今まで、講義の分析化学・無機化学等々で利用してきた解離定数ですが
  実際に実験をして求めることを経験し、今までスッキリしていなかった
  内容が「なるほど!」に変わりました。卒業研究までの授業・実験でも
  「なるほど!」を重ねて、卒業研究でその経験を発揮したいと思います。』

今までの実験では、JIS(日本工業規格)などのマニュアルに沿って、分析操作を進めてきました。
ただ、このような分析マニュアルは、今日実施したような実験をこれまでの分析化学者が繰り返す
ことによって完成し、それを私たちが利活用していることを知って欲しいと思います。卒業研究の
テーマによっては、自分たちで分析方法や、その条件を見出すことが必要になるかもしれません。
今日の実験での経験を、卒業研究にも活かして欲しいと強く考えています。

by あずみ