これまでの実験を応用 ミネラルウォーターの分析に挑戦!

本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者化粧品製造業責任技術者化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。

1年生は午後から応用分析化学実験に取り組みました。この実験は定性分析実験
(何が含まれているのかを調べる実験)や定量分析実験(調べようとする成分が
どれだけ含まれているのかを調べる実験)で用いた原理や操作を応用し、食品や
河川水等の環境試料を、国や公的機関が定めた分析法(公定分析法)で測定する、
いわば1年生の集大成となる実験で、実務的な経験をすることも目的の一つです。

今日のテーマは市販飲用水(ミネラルウォーター)の硬度測定です。この硬度は
ミネラルウォーターにカルシウムやマグネシウムがどれだけ含まれているのかを
表すものですが、もともとは洗剤の洗浄効果を妨げる成分量を把握する指標です。
また、水の味にも直結した指標でもあるため、成分表示に記載された硬度の値を
見て、購入する水を選択している消費者もいます。今回は、その成分表示の値を
理論値と仮定して、自分たちが分析した実験値と比較することを課題にしました。

実験中の様子ですが、滴定はこれまでの実験で何度も繰り返して行っているので、
スムーズに進めることができていました。また、11月2日(日)のブログにて
紹介していますが、定性分析実験で学習したカルシウム・マグネシウムの性質や、
試薬との反応など、基礎となる実験とのつながりを考えながら進めていました。

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さて、分析結果はどうだったでしょうか。全班の分析結果について、理論値との
誤差は全て±5%以内に入り、一つひとつの操作がしっかりとできていること、
概ね正確に分析できていることが分かりました。実験後、H君(左上の写真)は
次のように話をしていました。

 『応用分析化学実験では、これまでに修得した知識や技術を使って、実際の試料を
  測定するので、楽しいですし、興味深いです。軟水や硬水といった言葉は知って
  いましたが、その定義や測定法をガイダンスで知り、今日、実際に実験を行って、
  このような方法で硬度が測定できることに驚きました。また、添加する試薬量に
  よって、滴定の終点の判別が難しい面もあったので、適切な量を添加することの
  大切さを、実験を通して、体感できたことは良かったです。』

1年生は今後、理論値そのものが存在しない試料を分析し、自分の出した結果に誤りはない!と
示すためのステージへとステップアップしていきます。入学してから8ヶ月が経過して、着実に
技能を高めてきた1年生たちの、今後の更なるレベルアップを楽しみにしています。

by あずみ