唯一の直接分析法に挑戦!

本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者化粧品製造業責任技術者化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。

化学分析コースの1年生は、午後から実験でした。この写真は、その実験の一コマですが
一体どのような実験をしているのでしょうか。1年生も化学分析の基本技能を身に付ける
「基礎化学実験」が7月に終了し、含まれている成分が何かを明らかにする「定性分析」、
分析しようとする成分がどれだけ含まれているのかを明らかにする「定量分析」の技能を
修得する段階に移行しています。

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今日はその「定量分析実験」を行いました。テーマは重量分析です。この重量分析法は、
古くから化学分析に用いられてきた手法ですが、分析操作も煩雑で長時間を要することや、
技能が未熟だと誤差が生じやすいという特徴があります。一方で、分析対象となる成分の
質量を直接はかる唯一の方法で、定量分析の基準になる標準試料の調製に利用されるなど、
化学分析での重要な役割を担っています。

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今回は、溶液に含まれる鉄を沈殿させて、その沈殿を坩堝(るつぼ)という容器中に入れ、
約1000℃程で加熱し、組成を一定としてから質量を精密天秤で測定します。今日半日では
全ての操作を実施することはできませんので、2回に分けて実験を行いますが重量分析を
初めて経験した学生はどう感じたのでしょうか。

実験中のHさん(上の写真左側)は、以下のように話しています。
 『正確な質量を量ることの難しさを実感しました。グループ使用した3つのるつぼは
  一つも一回で恒量(前回の測定値との差が±0.0003g以内となること)にはならず、
  衝撃的でした。原因をいろいろ模索しているところです。』

この重量分析は、天秤で測定する質量が連続で±0.0003g以内になるまで、何度も操作を
繰り返します。時間を必要とする分析方法ですが、身に付く技術もたくさんありますので
根気強く、頑張りましょう!

by あずみ