実務へのステップ!環境分析に挑戦

本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者化粧品製造業責任技術者化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。

この週末、1年生は応用分析化学実験に取り組みました。この実験は定性分析実験(何が含まれて
いるのかを調べる実験)や定量分析実験(分析目的の成分がどれくらい含まれているのかを調べる
実験)で用いた原理や操作を応用し、食品や河川水等の環境試料を、国や公的機関が定めた分析法
(公定法)で測定する1年生の集大成となる実験で、実務的な経験をすることを目的としています。

テーマは、環境水の有機汚濁指標の一つでもあるCOD(化学的酸素消費量)分析です。CODは、
近年の主要な水質汚濁の原因である有機物が、水にどれだけ含まれているのかを評価する指標で、
経済産業省が定めるJIS(日本工業規格)の分析法に従って操作を進めていきます。

このCOD分析の操作にも、1年生がこれまでの実験で活用した知識・技術が利用されています。
例えば、このCOD分析の妨害となる塩化物イオンを取り除く(マスキング)操作には、定性分析
実験で学んだ沈殿生成反応を活用します。

また、最終の滴定操作は定量分析実験で学んだ過マンガン酸カリウムでの酸化還元滴定を用います。
つまり、これまでに実施してきた実験は、実務的な分析操作の一部となっていくのです。

実験後K君(写真)は、次のように話していました。
 『CODについては、授業や公害防止管理者試験に向けた学習で知っていましたが、実際に
  分析操作を行ってみて、テキストなどには書いていないコツや、判断方法等を知ることが
  できました。環境計量証明事業所への就職を目標として入学しましたので、実際の試料を
  用いた実験の経験を就職した後も役立てたいと思います。』

K君は、昨年10月に受験した公害防止管理者(水質関係第1種)試験に合格し、今年3月に実施
される環境計量士(濃度関係)試験に向けて学習中です。環境分析の仕事に従事することがK君の
入学目的ですが、入学以降一つずつ経験を積み重ね、その目的達成に向けて日々頑張っています。
今後もその目標を達成できるよう、授業・実験で確実に知識と技術を向上させてほしいと思います。

by あずみ