船の沈没の影響は?

細菌試験のガイダンス

 化学分析コース1年生の昨日から今日にかけての実験は、川の水の細菌試験でした。本校の前を流れる大川(旧・淀川)の水を採取し、その中に生息している一般細菌と大腸菌群の数を調べる実験です。
 水が汚染されているほど一般細菌が多いという傾向があり、また、糞尿で汚染された水に大腸菌は生息しているので、これらの数を調べることで、水の汚染状況を判定できるわけです。化学的な測定ばかりでなく、このような生物学的な調査も、環境分析では大切になります。
 さて昨日は、細菌の栄養をたっぷり含んだ培地というものに採取した水を塗り、36℃に保たれた装置に入れ、細菌を繁殖させました。24時間後の今日、いよいよ細菌の観察です。細菌試験は初めてという学生がほとんどで、みんな興味津々でしたが、しかし、大きな心配が一つありました。
 それは、5日前の5月20日、大川で船が沈没したからです。それも本校の目の前、天満橋の真下で、いつも学生が水を採取している場所です。本校は創立27年になりますが、天満橋で船が沈没したという話は聞いたことがありません。船が沈没した地点の水の分析は初めての経験です。
 沈没したのは砂利を積んだ台船であり、有害物が流れ出したわけではありませんが、昨日まで引き揚げ作業をしており、川底の泥などが舞い上げられたためか、水はかなり濁っていました。「砂利や泥などが微生物に影響を与えているのではないか」という心配を持ちながら、今日の観察に臨んだわけです。
 結果は、昨年とほとんど変わらず。特に汚染がひどくなったというわけではありませんでした。みんなホッと安心するとともに、こういう方法で水の汚染度を測定することもできるのかと納得していました。
 日々、向上していく学生の姿を、とても頼もしく感じた水の先生でした。

by水の都