琵琶湖の水を守る

アンモニウムイオンの定量

 先日、資源分析化学科の2年生を対象に、水の中に含まれるアンモニウムイオンを測定する実験を行ないました。
 アンモニウムイオンは、私たちの尿の中にも含まれていますが、量が多すぎると水中の生き物に直接的な害を与えます。また、さほど量が多くなくても、池や湖、内海などの閉ざされた水域に流れ込むと、富栄養化という現象を引き起こして赤潮などを発生させ、水の生態系を破壊してしまう危険性があります。アンモニウムイオンの量を正確に知ることは、健全な水環境を守る為、とても重要になるわけです。
 さて、本校での実験。みんな、真剣に取り組んでいましたが、その中の一人、O君を紹介します。
 O君は、滋賀県出身。本校入学の動機は「故郷の琵琶湖の水を守りたい」。そして先日、滋賀県環境分析の企業への就職が内定しました。もちろん、その企業では琵琶湖の水質も調査しており、まさに、夢をかなえられる就職先です。
 就職は内定しましたが、卒業までに勉強しておくべきことは、たくさんあります。今回のアンモニウムイオンの測定技術もその一つであり、実際に企業で行なわれているのと同じ方法での実験です。O君にとっては、就職後の自分の姿を思い浮かべながらの実験となりました。
 アンモニウムイオンと反応して青色の化合物をつくる試薬を使いますが、調製を間違えると、うまく発色しません。はたして良い結果が得られるかどうか心配でしたが、見事、溶液は青に発色し、実験は成功しました。写真は、発色の様子を観察するO君です。
 今回の実験で学生たちは、知識と技術をまた一つ積み重ね、自分たちの能力をまた一歩向上させました。それは、卒業後、分析化学の最前線での働く際に、必ず活かされるはずです。
 頑張れ、O君! 琵琶湖の水を守るのだ!
by水の都