入学から1カ月〜それぞれの現在は〜

 入学式から1カ月が過ぎ、1年生も少しずつ学校に慣れてきたようです。とは言っても、それぞれこれまでに歩んできた道が違えば、入学を決めた動機も違います。そして、同じように学校生活を送っていても、現在の状況や心境も違うはずです。そのような学生達が、今何を感じているのか、放課後に1年生数人に集まってもらい、座談会形式で正直な気持ちを語り合ってもらいました。1年生の担任をしている私にとっても、一緒に過ごしてきたこれまでの1カ月を評価されるようで、学生から出てくる生の言葉をドキドキしながら聞かせてもらいました。
 

 集まってくれた1年生は、高校を卒業し、すぐに本校に入学した学生から、社会人を経験して入学した学生まで、経歴は様々です。また、出身地も愛知県、石川県、福井県と様々です。
 

「正直、不安はありました。」

 
 まずは、入学から1カ月が過ぎて学校生活をどのように感じているか、ズバリ聞きました。
その結果、全員が「楽しく過ごしています。」と、笑顔ではっきりと答えてくれました。

 担任として、教員として嬉しい瞬間でした。

 しかし、入学するまではどうだったかと聞くと、
「正直、不安はたくさんありました。」と話してくれたのは、ほぼ全員でした。

 続けて、その不安に思っていたことが何だったのかと聞くと、それぞれの立場で不安要素は異なるものの、共通するところもありました。特に、日本分析化学専門学校という名前に、難しいというイメージを持って、体験入学に参加した学生が多くいました。とは言っても、そのイメージは、体験入学や学校見学に参加した際に、払拭されていたようですが(笑)。

 それ以外に学生から出てきた“不安に思っていたこと”について挙げると、

●高校時代、化学を勉強してこなかったので、ついていけるか不安だった。
●高校時代、化学は勉強したけど、実験をほとんどしなかったので、実験時間の多い本校のカリキュラムについていけるか不安だった。
●地方から出てきたため、大阪という土地に慣れるか不安だった。
●化学を勉強していたのは数年前なので、このブランクを埋めることができるか不安だった。
●クラスには、いろいろな年齢層の人がいるため、馴染めるか不安だった。

と、それぞれに不安を持ちながら入学してきたんだなと改めて感じました。

 これに対して、入学してからどのように解消することができたのかを聞くと、

●化学の勉強や、実験については、特別基礎質問講座で先生に質問し、疑問を解消している。
●実験では、器具の名前を聞いてもその器具なのか分からなかったけれど、本校オリジナルの実験テキストに詳しく解説されているので、確認もしやすく、器具の扱いにも慣れてきた。
●実験のレポートを書けるか不安だったけれど、自然と書き方を修得できるように準備されていて、迷うことなく書けている。
●一泊オリエンテーションを通して、周りに友達がたくさんできた。年齢差もあるが、特に問題なく過ごせている。
●友達もできたことで、大阪の暮しにも慣れてきた。
●笑い文化のある大阪で、ギャグに対応できるように、イメージトレーニングをしてきた(笑)。

と、本当に!?と思われるところもあると思いますが、全て学生の生の声です。

 授業や実験については、我々教員も質問をしやすいような雰囲気を作るようにしたり、化学を初めて勉強するという学生もいるため、特に最初は負担になり過ぎないようにと、実験や授業の進め方を考えながら行うようにしています。学生は、それをうまく利用しているようで安心しましたが、これからの進め方にも気を付けなければいけないなと感じました。

自分を変えたい!

 話を続けていると、分析化学者になるという将来の目標とは別に、特別な想いで入学してきた学生や、この1カ月で新たな目標を決め、それに向けて一歩を踏み出し始めた学生もおりました。

●生命バイオ分析学科のIくんは、現在、自治会の副会長となり、クラスをまとめていこうとしています。そのIくんも、本校に来るまでは、大学を途中で辞めて、バイトする生活を送っていました。大学では、少しサボりがちで、先生ともうまくコミュニケーションが取れていなかったそうです。

  そんな自分が嫌になり、少し悩んだ時期もあったと話してくれました。でも、そこで変わらなければいけないと思い、化学の実験をしたことも無かったけれど、技術をしっかり身に付けて就職するために本校に入学しました。入学してからは、何か自分が変わったということを具現化するために、これまでしたことが無かった自治会の副会長という、人をまとめる役に思い切って立候補したそうです。
 現在、勉強については、授業もただ一方的に話して終わる大学の授業と違い、分かりやすく進めてくれるため、ついていけているし、満足していると話してくれました。また、先生との距離の近さも実感しているとのことでした。


有機テクノロジー学科のIくんは、先日の一泊オリエンテーションの最後に、「最初は、参加したくなかったけど、参加して良かった。自分を変えるために、一歩前に踏み出すことができた。」と、皆の前で感想を話してくれた学生です。
 
 Iくんは、昔から先生に名前を覚えてもらえているのか分からないくらい、大人しくて目立つタイプの生徒ではなかったそうです。その状況に対して、これじゃ駄目だと思うようになり、先程のIくんと同じように自分を変えたいと思ったそうです。その切っ掛けが、一泊オリエンテーションで、あの最後の感想がありました。今までなら遠慮していた、人の前で自分の気持ちをしっかりと話すということに挑戦し、これまでの自分から少し変われた、一歩前に進めたと照れながらも話してくれました。
 Iくんは、大学受験をしていましたが、当初、専門学校に全く興味は無かったそうです。しかし、探せば大学と同じくらいに、またはそれ以上にしっかりとした専門学校もあるんだと思い、本校に入学を決め、今では満足しているとのことでした。

 
 他にも、いろいろな話を皆から聞くことができました。まだ入学してから1カ月ですが、本当に成長を続けている1年生の姿に驚かされ、嬉しく思いました。それと共に、それぞれの想いを聞き、教員として、こらからもしっかりと引っ張っていかなくてはいけないなと感じたぽてとでした。


By ぽてと