走る!走る!卒業研究もそろそろ仕上げ

みんながばたばたと走る、忙しい師走ですが、卒業研究の仕上げに向けて2年生の学生たちも猛ダッシュです。
1月に入ってからは、論文作成や発表準備を中心に行いますので、実質実験ができるのは年内のみ。実験日としては、今日も入れてたったの3日間しかありません。
やり残した実験がないように、また、わずかな成果も見逃さないよう、2年制学科の2年生たちは指導担当教員と一緒に全力で研究に取り組んでいます。
(4年制の医療からだ高度分析学科の2年生たちは「卒業研究」はしていませんが、2年制学科の卒業研究チームに「課題研究」として参入しています。詳しくはこちらhttp://d.hatena.ne.jp/bunseki/20111018をどうぞ)


今日、私アビーが卒業研究の監督の日でしたのでその様子をご報告します。

まずこちらは私の指導担当班の様子です。小麦粉に砂糖、ショートニングにそして電気ケトルを使っているこの研究。
「実験」らしからぬ雰囲気に見えるかもしれませんが、彼らは「乳酸菌配合パンの防カビ性の検討」という研究をしています。パンに生えるカビに対して抑制効果がある乳酸菌を見つけ、それをパンつくりに利用することで、手作りでも保存性の高いパンを作れないかと検討しているのです。フラスコや試験管を手に実験している日もあるのですが、今日は特にパンをたくさん焼く作業があり、その光景は化学の専門学校というよりちょっとした料理の専門学校のようです。

彼らのパンを捏ねる手つきはなかなかのもの。というのも、班員には複数名パン調理の経験者がいるのです。Mさんはなんと調理師資格を持っていますし、H君とKさんは高校の時に食品加工に関する学科に所属しており、パン作りは慣れたものです。不慣れな班員にコツを伝授し、7種類のパンを手早く捏ね上げていました。医療からだ高度分析学科のK君にこの研究テーマを選んだ理由を聞くと、「もともと食品も微生物も扱って研究したいという思いがありましたし、この実験なら高校も含めてこれまでに身に付けた力を発揮できそうだと思ったんです」とのこと。まさに経歴に無駄なし!ですね。

捏ね上げたパンには、それぞれ異なる配合で乳酸菌や、乳酸菌が作り出す成分が含まれています。これらが防カビ性にどのくらい影響を与えるのかを検討しますが、下の写真のように、配合によって膨らみ具合にも差が出てきたようですね。

そして実験室にある機器でふっくらとパンを焼きあげました。なんともいえない香ばしい香りが実験室中に立ち込めており、周りにいた学生も「官能試験しないの?協力するよ!」と味見したくてうずうずな様子でした(笑)。このパンは、カビの生えやすさを比較するため、カビの胞子をつけて数日後の様子を観察します。手塩にかけたパンにカビを生やすのはちょっともったいない気もしますが、これも研究のため。スライスしてシャーレの中に納めます。さて、結果はどうなるか??数日後の観察が待ち遠しい思いです。

彼らは実験終了時には次回の実験内容に抜けがないかを入念にチェックし、そして冬休み中の論文作成などの流れについても担当教員の私としっかり打ち合わせしていました。時間を無駄にせず、精一杯の良い研究を完成させようという意気込みが伝わってきました。


他の研究チームもいよいよ大詰めです。追い上げのために、扱う試料の数も多くなり作業量も多くなった今、協力体制を敷くためにチーム内の団結も一層強くなっているようです。自分たちが目指すゴールに向けて最後の追い上げに入った今、学生たちの顔に迷いはありません。自分たちの研究に自信と誇りを持ち、突進しているように見えます。




あ、ちなみに実験室内では、危ないので駆け足厳禁です(笑)これは実験室での基本ルールです。本校の学生が走るのは気持ちの上で、です。あしからず。。

byアビー