質問をしながら一歩ずつ前進しています。

今年の授業や実験は、今週の木曜日までとなり、特に2年生の卒業研究では、あちらこちらで追い込みに入っていました。


実験室でいろいろなデータを取るグループもあれば、教室でノートパソコンを前にして、年明けに提出する要旨の原稿を書いている学生もおり、皆で役割分担をしながら進めていました。


その要旨を書いているのは、有機テクノロジー学科で2年生のFくんです。Fくんは、社会人として料理の世界で働いていましたが、将来に少し不安も感じていました。その時に、この幅広い分野で働ける分析化学の世界があることを知り、もう一度勉強し直して技術を修得しようと本校に入学しました。

そのため入学までの数年間は、化学から遠ざかっていました。その間の知識を取り戻し、新たに習う知識と技術を身に付けるために、授業の終わりには、先生によく質問をしていました。それだけでなく特別基礎質問講座という、授業とは別にいろいろな科目の質問ができる時間があります。分からないことがある学生はもちろんのこと、何が分からないのか分からないという学生でも、心配せずに質問に来れば大丈夫という時間です。Fくんはこの時間もうまく利用して、ここまで来ました。そして、今は最後のまとめとして、これまでに習った化学や分析の知識や技術だけでなく、データのまとめ方や報告書の書き方を生かして卒業研究に集中して取り組んでいます。

今日は、要旨の原稿を書いていましたが、横には、担当の先生のチェックが入った真っ赤な原稿がありました。恐らく、入学した当初は、今行っている実験も、この要旨にチェックを入れられている内容も分からないことだらけだったと思います。しかし、今では先生と実験の内容について話し合いながら進めることができています。この先は、医薬品関係の仕事に就くことが決まっているため、これまで以上に責任ある操作やデータの管理が求められると思います。まずは、この卒業研究で成果を出し、それを自信として次のステップに進んで欲しいと思います。

一方、1年生の授業終了後の教室を覗くと、レポートの作成をしている学生や、皆と談笑している学生が何人かおりました。


下の写真は、医療からだ高度分析学科で1年生のYくんです。こちらがカメラを持って教室に入った瞬間に、「先生、質問です!」と、機器分析化学実験で出た実験データの解析方法に関する質問を受けました。

機器分析化学実験では、高速液体クロマトグラフガスクロマトグラフなど、いろいろな機器を用いた実験を行います。今、Yくんはガスクロマトグラフの実験をしており、濃度が分からない試料を分析機器用いて測定し、その濃度を求めようとしています。そのレポートを書こうとしているところで、出てきたデータを見直していると、データの扱い方が分からなくなってしまったようです。決して、難しく考えることはないのですが、高校生の時にはあまり使うことのない方法でもあるため、その解析方法に慣れなければ戸惑うところもあります。今回は、こちらから少し説明をすると、理解できたようです。

このように今は少し戸惑いながらでも、今後も同じようにデータを解析する実験があるため、それを通して必ず慣れていきます。これからも、いろいろな実験や授業の中で感じた、ちょっとした疑問を少しずつ解消してくことで、新たな知識や技術を自分のものにしていってもらいたいと思います。そして、卒業を迎えるときには、立派な分析化学者として、社会へ出て欲しいと思います。そのためにも、我々教員は全力でサポートしていきますね。

By ぽてと