2年生は未来を見据え、1年生は歴史をひも解く。

週末(土曜日・日曜日)だけの通学で、化学分析の知識・技術が修得でき、平日の学科と同様に2年間で卒業できる(卒業と同時に取得可能な国家資格も全員が取得できる)化学分析コース。このコースは定員20名の少人数制で、全国各地から社会人や大学生が、転職や再就職、難関国家資格の取得、技術職へのキャリアアップや現職でのスキルアップ等を目的として通学しています。

今日は、1年生・2年生ともに午後からの科目は実験ですが、前期の実験も半分を終了。2年生はこれまでに提出したレポートについての指導日である「レポート日」を、1年生は明日から実施する実験のガイダンスを行いましたので、その様子について紹介します。

社会で通用するレポート作成能力を!

2年生のレポート日は、1年次と比較して内容的にも実践的な指導内容です。企業に就職したら、どのように報告書を書くのか、公的機関(研究所)で勤務されていた経験のあるM井先生を中心に解説があり、その後、それぞれのレポートに関する指摘がありました。化学分析コースは週末のみの登校であり、卒業研究は平日の学科・コースよりも少し早い7月末からスタートします。卒業研究の内容は、卒業研究論文にまとめることになりますので、それを見据えた指導でもあります。

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Y君からは『ホントに細かい部分まで、詳しく指導していただきました。外部に出すレポートや論文作成でも、気を付けないといけないことが沢山ありました。先ずは、今からの実験レポートをしっかり作成すること、そして卒業研究論文の作成に、今日の指導内容を活かしたいと思います』という感想が聞かれました。

およそ100年前から使用されている解熱鎮痛剤の合成と分析

1年生の部屋を少し覗いてみると、M木先生が明日の実験についてガイダンス中でした。明日の実験は、風邪を引いたときや頭痛に悩むとき等に買い求め、服用する医薬品成分を合成する実験です。その医薬品成分は「アスピリン」。その翌週には、合成物の純度などを測定します。

アスピリンの起源はある種のヤナギの成分であり、歴史的にはギリシア時代にまでさかのぼると言われています。実際に有効成分が単離されたのは1819年、純物質の結晶化に成功したのは1827年のこと。しかし、この成分は「アスピリン」とは異なるサリシンという物質で、内服できないほど苦くて、実際に純薬として使われることはありませんでした。

昔からの言い伝えを信じてヤナギの樹皮を煎じて服用していた欧州の人々も、解熱・鎮痛作用を求めて、この苦さにひたすら耐えていたと言われています。この欠点を克服するために、多くの科学者たちが代替品を求め続け、1838年にサリシンの分解物として得られていたサリチル酸も、内服できる代物ではなかったようです。刺激作用が激しく、胃の粘膜を損傷するからでした。最終的には、1897年にドイツのバイエル社によって、副作用の少ない「アスピリン」の創製に成功し、人々が、熱や痛みから解放されたのは、それから2年後の1899年のことだったようです。100年以上たった現在も、「アスピリンは」世界で使用されている医薬品です。

1年生はこのような歴史のある実験に明日チャレンジします。この内容は明日のブログで紹介します!

このように、化学は人の生命や生活を根底から支えてきた分野です。身の回りの一つひとつに化学の歴史があるのです。昨日、始動しました本校の「化学で笑顔プロジェクト」では、このような化学の歴史についても触れていますので、どうぞご覧下さい。

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by あずみ