分析化学なくしてはこの世のすべてのものを語れない。。。

昨日は、再生医療創薬への利用の期待が高まる
『iPS細胞(人工多能性幹細胞)』の開発によって
京都大学の山中教授にノーベル医学生理学賞が贈られるとの発表がなされ、
日本中が湧きましたねぇ。

そんな嬉しいビッグニュースに釘付けになった夜から一夜明け、
今日は、ぽてと先生と一緒に、創業以来固形石鹸を中心としたあらゆる石鹸を
製造しておられる「株式会社マスター」様を訪問しました。

こちらの企業は1930年の創業以来、石鹸作り一筋の老舗企業で、
応接室に案内されると、ありとあらゆる石鹸が展示されていました。
その数およそ1万点。。。
応接室全体に石鹸のいい香りが漂っていたのは言うまでもありません。

主な事業内容としては、オリジナルブランドは勿論ですが、
その他にOEM事業として花王(株)、(株)資生堂、ライオン(株)、
(株)コーセーなどといった名だたる大手企業で販売するための石鹸を
開発、製造されており、工場内を見学させていただいたときには
見たことのある製品がどんどん作られていました。
※工場内については写真撮影の規制がなされており、お見せすることが出来ませんので、
 オリジナルブランドでお土産にいただいた石鹸の写真をアップしておきます。。。



工場内での製造現場をひと通り拝見した後、品質管理部で勤務している卒業生を訪ねました。

彼は、この3月に有機テクノロジー学科を卒業したI君で、
4月から社内で3ヶ月の研修を終え、
今は石鹸の成分が基準通り適切に配合されているか?といった分析をしたり、
ミニ製造装置を使って新しい石鹸を開発するために作った試作品を分析したりと、
石鹸の品質を守り、新たな石鹸を生み出す過程にガッツリと携わっていました。

人事ご担当の方に、彼の働きぶりを尋ねますと、以下のような嬉しいお言葉を頂きました。

「彼はとにかく真面目にコツコツと仕事を覚え、着実に成長していってくれてます。
特筆すべきは、さすが分析化学を専門に勉強されていただけあって、
機器の使い方は勿論、報告書の書き方です。
非常に分かりやすく、要点を押さえた報告書で、
これには大変感心しているという現場での評価です。
今後はどんどん仕事を覚えて
会社の『核』となるような人物になってくれればと期待しています。
このように彼の今後に期待を寄せているのは私だけではなく、
品質管理部は勿論、製造現場の従業員も同様です。
大変素晴らしい方をご紹介頂きありがとうございます。」

彼は確かに在学当時から真面目にコツコツと取り組むタイプでしたが、
それと同時に卒業研究でも班内のメンバーから大きな信頼を寄せられ、
非常に頑張っていましたので、こうした言葉を聞いてとっても嬉しくなりました。
また同時に、在校生にも、今、授業や実験で学んでいることや、
先生方が口酸っぱくおっしゃることは、
必ず今のうちに身に付けておいて欲しいと強く思いました。

彼の仕事は石鹸の品質管理と研究開発。。。
あらゆるモノが作られる段階でその品質を守るために
「分析化学」が存在するのはなんとなくご理解頂けると思いますが、
研究開発の中でも「分析化学」が必要不可欠な技術であることを
ご存じの方は少ないと思います。
例えば、新たなものが発見、創造された場合は、
「それが本当に新たな能力を持っているのか?」、
また「考えどおりのものなのか?」
といったことをデータを根拠に証明する必要があり、
その際の手法として、必ず「分析化学」が登場するのです。

先にご紹介したiPS細胞などの医学・薬学分野を中心とした研究開発でも、
今回訪問させていただいたような石鹸の開発などの有機化学分野の研究開発でも、
実は分析化学は無くてはならない技術なのです。。。

byすくろーす