身近な食品から化合物抽出!

はじめまして、今年度より日本分析化学専門学校の専任講師となりました
「アクア」と申します。子供の頃より、アクアリウムが大好きで日本の淡水魚や、
綺麗な熱帯魚と触れ合ってきました。
本ブログにも時々、登場しますので、よろしくお願いします。私のブログで
みなさまに化学やバイオの面白さや楽しさをお伝えできれば!と思っています。

昨日は本校のある大阪をはじめ、日本全国でとても寒い一日でしたが、今日は
とても日差しの強い天気の良い日でした。外に出ると風は冷たかったですが、
日差しもよく気持ちいい一日でした。
本校の近くにある造幣局桜の通り抜けも今日が最終日、今年、最後の桜を
目当てに多くの人が天満橋を渡っていました。
さて、本格的に授業・実験が始まって2週目ですので、2年生以上の学生達は
実験を楽しみながら、新しい技術や知識を身に付けた一日でした。

実験棟に入ってみるとまず、有機テクノロジー学科の2年生と医療からだ高度
分析学科の3年生が医薬・食品成分実験を行っていました。
医薬・食品成分実験では、我々の身近にある食品や医薬品から有効成分を
抽出という操作を行い、そしてカラムクロマトグラフィーと呼ばれる分離装置で
混合物から目的物質を取り出すという、有機化学を行う上では必要となる一連
の操作を、実験を通して学びます。

今日の実験の様子を見ていると、ほうれん草から色素であるクロロフィルaとb、
β-カロテンというテレビでもお馴染みの物質を有機溶媒中に抽出し、
カラムクロマトグラフィーでそれぞれを分離する操作を行っていました。


↑上の写真は、学生たちが作製したカラムという装置の中に抽出したほうれん草の
液体を注ぎ込んでいる最中です。

学生たちは、ほうれん草の抽出液をこぼさないように慎重にカラムに注ぎ込んで
いました。

続いての操作が、エバポレーターという減圧蒸留装置を用いた溶媒除去操作です。


↑学生たちは真剣な眼差しで溶媒が除去される場面を見守っていす。

有機テクノロジー学科の専門的な実験は2回目ですが、さすが2・3年生です
ので、1年生で学んだ分析化学の基礎技術と知識を活かして自信を持って
実験していました。

長野県出身の有機テクノロジー学科のSさんは、ほうれん草からきれいに緑、
黄色、黄緑と、目的とする成分が分離できたことに感動していました。
真っ白なシリカゲルカラムの中で緑色から、黄色、黄緑色に分かれていく
様子は実際に実験をしてみないと分からないかもしれません。

さて、有機テクノロジー学科と医療からだ高度分析学科のもう1班は、
茶葉に含まれるカフェインの抽出を行う実験をしていました。


カフェインというと、コーヒーに含まれていることはよく知られていますが、
実は緑茶にも多くのカフェインが含まれています。
そのため、就寝前に緑茶を飲むと眠りが浅くなったり、目が覚めてしまったり
するのです。
カフェインの抽出を行っていた学生に、カフェインを実際に見たことがあるか
聞いたところ、カフェインという言葉は聞いたことがあるけれど、実際に見た
のは初めてと言っていました。
学生たちは、小さなナス型フラスコの中で、操作を行っていくと、白い針状の
カフェインが徐々に姿を現していく様子を見て、歓声を上げていました。

今日は、授業だけでは味わえない感動を、実験を通して知った学生たちを
ご紹介しました。

このブログを通して実験の楽しさが少しでも伝われば、幸いです!


by アクア