卒業研究に込められたそれぞれの思い・・・

一昨日のブログにもありましたように、今日も2年生は卒業研究三昧。

実験室では植物の苗を植え替えている生命バイオ分析学科の学生を発見。
扱っている植物はキャベツということでした。

みんな、楽しそうに植物の研究をしているように見えますが、
実はこの研究、彼らの「社会のために、人のために・・・」という願いが込められているのです。

東日本大震災津波により流失や冠水等の被害を受けた農地の推定面積は
水田 20,151ha、畑 3,449ha、合計 23,600ha で被災6県の耕地面積の2.6%に達し、
特に、宮城県では県内耕地面積の 11%にもおよんでいます。

こうした津波の被害を受けた農地は、海水に含まれる塩分がきれいに取り除かれない限り、
今までと同じような農作物を育てることが出来ません。
このことから、これまでに様々な研究機関で除塩の研究が進められており、
一部の地域では、実際にそうした成果も上がっているという報告もありますが、
農林水産省によると、震災で塩害を受けた農地の復興状況は、
3年目を迎えた今年3月末ごろの時点でも、宮城県で76・1%、福島県が24・7%、
岩手県が35・6%にとどまる見通しで、塩害が被災地の農業の復旧の妨げになっています。

本校でも、化学やバイオで何とか復興支援が出来ないかと、
震災後すぐに卒業研究のテーマとしてこの研究が始められ、今年で3年目を迎えようとしています。

本研究では、先にご紹介した除塩というアプローチではなく、除塩をしなくても育つ、
つまり塩分がたくさん含まれた農地でも育つ植物やそのしくみを研究していこう
という観点で研究がなされています。
彼らの思いが少しでも良い結果に繋がるよう願っています。


一方、コチラの卒業研究チームは有機テクノロジー学科の2年生。
学生たちだけで作戦会議をした上で・・・

担当の先生にその作戦の報告に。
どうやら先週行った実験のまとめと、明日の研究方針について、先生と打合せをしているようでした。

彼らの研究テーマは、「生体親和性薬物放出制御システムの構築」という、何だか難解なテーマ名ですが、
要は、医薬品を体内に投与した際に、他の部位にはその医薬品が放出されずに、
治療をしたい部位周辺でうまく医薬品が放出されるような医薬品を包む薬剤を開発するというのが
この研究のテーマで、これまで数年に亘って本校で行われている研究です。

彼らがこの研究をしたいと思ったきっかけの一つに、
前期に行った「医薬・食品成分実験」があったそうです。
その中では、本研究の基礎的な実験があり、とても興味深い研究だと思ったということでした。

しかし、一番大きな研究の動機は、
昨年度の卒業研究発表会での先輩の姿に憧れて・・・ということでした。
たった1年しか変わらないんだけれど、卒業研究発表会での2年生の姿は、
1年生からみると、とても立派で、ものすごい大きな存在だったようです。
「あの先輩みたいになりたい!」と思える存在が近くにいて、それに近づこうと努力する後輩たち。
この図式が、これまでの本校の学生の成長を支えてきたのかも知れません。
しかし、今度は彼らが後輩からそう思われる立場。
後輩からの熱い視線に応えられるように頑張って欲しいと思います。

以上、それぞれの研究の背景にある「学生たちの思い」をお伝えしました。

byすくろーす