一つの実験を多角的にアプローチ!

本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者化粧品製造業責任技術者化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。

今日は午後から実験、1年生は分析する成分が「どれだけ含まれているのか」を
調べる実験「定量分析実験」に取り組みました。先日(7月27日)のブログで、
実験ガイダンスの様子を紹介しましたが、今日は実際にpHメーターを使用した
中和滴定(電位差滴定)の実験を行いました。

中和滴定は、初歩的な実験でもありますが、奥が深いのも特徴です。この手法で
食品や清涼飲料水に含まれるすっぱい成分(酸)の濃度を分析したり、水質中の
汚濁成分(アンモニアなど)の濃度を分析したりと、実際に化学分析の仕事でも
活用されている手法です。

1年生は、入学して間もない頃に「基礎化学実験」で中和滴定を経験しましたが、
その時は溶液の色が変化することによって化学反応(中和反応)の終わりを知る
指示薬法という手法を学びました。今日は、pHメーターという機器を使用した
分析方法をマスターすることをテーマに実験を行いました。

ただ、以前の実験でマスターした手法と、今日学ぶ実験方法は、異なる手法でも
同じ中和滴定ですので、「得られる実験結果は同じになるハズ!」と学生たちは
考えているようです。そこで、2つの手法で分析して、実際に結果を見てもらう
ことにしました。結果、2つの手法で得られた分析データに違いが見られたよう
です。何故、異なる分析結果となったのか・・・・。これは、実験レポート提出
までの課題になりました。実験後の、M君(左写真の左側)の感想です。

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 『中和滴定は以前にも経験しましたが、pHメーターを使用した方法は初めてでした。
  ただ、ガイダンスで大きくpHが変化する部分が、中和反応の完結であると教わって
  いたので、戸惑うことなく実験を進めることができました。また、指示薬を用いて、
  溶液の色で滴定する方法と、分析結果にズレがあることには驚きました。このズレが
  何故生じたのかを考えますが、分析方法の特徴を把握することがとても重要であると
  感じた実験でした。』

化学分析コースは、一人の教員が見る学生数の面でよりマンツーマンに近いため、一つの実験に
対して、色々な角度から工夫することができます。単にテキスト通りの実験を行うのではなく、
それと併せて考える力を身に付けて欲しいと考えています。

by あずみ