分析のプロとなった先輩から後輩へ!

本日は、校内で化学実務駅伝を実施しましたので、
その様子を紹介します。

第34回 化学実務駅伝 〜貴重な45分間〜

化学実務駅伝」とは、本校で実施している行事の1つです。
この行事では、企業の技術者をお招きして、
実際の分析業務とはどのようなものかをご講演頂きます。

年に3回実施しており、
学生にとっては、学校で学んでいることが、
将来働く可能性のある現場で
どのように生かせるのかを
直接聞くことのできる非常に貴重な時間です。

そして、実際に来て頂く企業の方は、本校の卒業生が多く、
今回も平成9年3月に本校を卒業された、
14期卒のO様にお越し頂きました。

このように各企業で活躍されている先輩を中心として、
次から次へとバトンを繋ぐように講演を頂いているので、
「駅伝」という名前がついています。
今回で34回目を迎えるため、今日ご講演頂いたO様は、
34走者目ということになります。

↓講演中の様子です。

O様は、この45分間の中で、少しでも分かりやすく
分析業界の話をして、これから社会人として同じ業界で
活躍する後輩にいろいろ伝えたいと、
お忙しい中、スライドも時間を掛けて準備頂きました。

O様のお勤めの企業は、環境中の各種成分の分析業務を
中心に行っておられます。
例えば、河川の水質に異常はないか、
井戸の水は飲める基準にあるのか、
土壌が何か有害物質に汚染されていないか、
工場から出される排ガスの基準は守られているかなど、
高度な分析技術を生かして対応されています。

この他にも、金属やプラスチック製品などに含まれる各成分が、
定められた通りの割合で含まれているかということも分析し、
評価されています。

このようなお仕事は、普段私たちが生活をしている中で、
直接見たり、感じたりする機会は少ないです。
しかし、各企業は、いろいろな施設や工場などを動かしていく上で、
欠かすことのできない分析項目が多々あり、
それらの分析を自社内でできるものでもありません。

その時に活躍されるのが、O様の企業のような分析のプロ集団です。
各企業や団体を、陰で、縁の下の力持ちの存在として支えているのです。

その中で、O様は分析職として採用され、いろいろな分析業務に
携わって来られました。
その経験を買われ、今は営業本部の営業課課長だけでなく、
沖縄の営業所の所長も兼務され、活躍されています。

営業と言っても、この分野の営業は、分析の知識や経験が無ければできません。
なぜなら、大切な依頼主の企業へ出向き、実際に打合せをする中で、
その企業が、どのような項目を何のために調べたいと考えているのかを理解し、
それに必要な分析項目は何かを見極め、提案もしていかなくてはいけません。
つまり、分析に関わる多くの知識や経験を持っている方が、
有利ということになります。

そのようなお話も、写真を交えながら、
非常に分かりやすく説明をして下さりました。

そして、講演の後半は、本校を卒業し、
社会で仕事をして感じたことを、
学生時代に習った授業や実験科目名を具体的に出しながら、
なぜ、今その勉強や実験をしなければいけないのか、
なぜ、先生が「それが大事」と言うのかを
学生に分かりやすく説明して下さりました。

このスライドを作成するに際には、
同じ企業にお勤めの同級生の方と相談もしながら、
過去の教科書やノートも引っ張り出して考えて下さったとのことでした。

また、O様は、これまで社会人として、分析の技術者として、
数々の人を見てこられました。

その中で、専門学校生の良いところは、
 ・大学生に負けない実践力があるところ、
 ・実験の基礎をしっかりと身に付けているところ、
 ・柔軟な考え方ができるところ、
 ・資格取得に対しても積極的で、何事にも実直に取り組むところ
と、仰っておられました。

そして、最後に、
「実験の多いカリキュラムの本校で、たくさん実験をして、
 実験や化学の基礎を身に付けるだけでなく、
 社会人マナーもしっかりと身に付けて下さい」
と、メッセージを頂きました。

講演後の質疑応答の時間には、
1年生からも多くの質問が出ました。

上の写真の左端に写っている
1年、資源分析化学科のKくんも質問をしていました。
この時を振り返って、次のように話していました。

「事前に何を質問しようかと考えていたのですが、
 いざ質問をしようとすると緊張のあまり、言葉がうまく出ずに、
 考えていたことが言えませんでした。
 しかし、そのような質問でも、先輩からは分かりやすく、
 ユーモアも交えて答えて頂けたことは、とても嬉しかったです。
 貴重な経験ができました。」

と、Kくんは、もう少しうまく質問ができたかなと
反省をしていたようですが、そこは先輩が見事にフォローをして
下さり、Kくんも前向きに考えていました。

講演が全て終わった後、
今年度、O様の企業に内定の決まっている3名の学生と、
O様の学生時代を知るすくろーす先生とで写真を撮りました。
(前列左端がO様で、後列左端がすくろーす先生です。)

O様からは、改めて学生3人に対して、
「4月から待っています!卒業研究も頑張って!」と
メッセージを頂きました。

すくろーす先生とO様は、昔話に花が咲き、
思い出が尽きない様子で、学生当時を振り返っておられました。

今回の化学実務駅伝を通して、
これから就職活動をしようという学生にとっても、
既に内定を頂いて、次の4月から社会人になる学生にとっても、
先輩からのメッセージは、とても良い刺激になったと思います。

今回頂いたメッセージを生かして、
これからの学校生活に生かしてもらいたいと思います。
そして、この刺激を受けた学生が、いつかまた、
こうして講演をするために戻ってきてくれることを
大いに期待しています!

By ぽてと