授業と実験で生きた知識を身につけよう!

本校には、平日に通学できない方を対象とした土曜日・日曜日開講の
化学分析コース」があります。週末を活用することで、平日の学科と
同様に2年間で卒業することができ、毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業
責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格も卒業と同時に全員が
取得することができます。

このコースに在学する学生の入学目的は、例えば、技術職への就職や転職、
現職でのキャリアアップやスキルアップ、勤務先や自ら経営する企業の事業拡大に
必要な国家資格の取得など多彩です。そして、多種多様な目的に対応するため、
1学年あたりの定員を20名として、少数精鋭で開講しています。


本日、2年生は午後から機器分析実験を行いました。
本日使用した吸光光度計は、これまでにも使用したことがあります。
但し、これまでは定量分析(目的成分の含まれている量を調べる実験)を行うために
用いてきましたが、本日は分析化学でよく使われる「定数」を求めるための実験を行いました。

その定数とは「酸解離定数」と呼ばれるもので、溶液中に存在している化学種の割合や
物質の結合比を求める時に、よく使われる定数です。
これまでに、学生たちは授業で酸解離定数について学んでおり、その定数を用いた計算
問題にも取り組んできています。
今回は、pHによって色が変化する色素を用いて、実験から酸解離定数を求めることで、
この定数について、より深く理解することが目的です。

また、これまでの実験では、実験の条件は全てテキストに書かれていましたが、
今回は、予備実験を行い、実験を行うのに適した溶液の濃度を決めることから、
始めました。


准講師(非常勤)のM先生の説明を聞いて、予備実験の結果から、適した濃度を
検討しています。


これまでに何度も行い、慣れている滴定という操作を利用して、pHの異なる溶液を
用意しています。


pHの異なる溶液に、pHによって色が変化する色素を加えて、測定試料を準備しました。
色の変化(グラデーション)が目視でも分かりますね。



測定試料を順に吸光光度計で測定しました。機器の操作にも慣れてきて、スムーズに
測定を行っていました。

実験後に、学生たちに感想を聞くと
『予備実験を行い、実験条件を決めるという初めての経験をしました。卒業研究では、
こういった実験条件を考え、決めていくことから始まることを伺い、しっかりと計画を
立てて、研究を進めていく必要があると思いました。卒業研究が、今から楽しみです。』
『授業で学んだ酸解離定数について、実験を行うことで、視覚的に把握することができ、
より一層理解が深まったように思います。さらに、pHによって色が変化する色素を用いた
実験で緩衝液(pHの変動を抑える能力を持った溶液)を使う理由についても理解すること
ができ、とても有意義でした。』
と答えてくれました。

実験を通して、授業で学んだ理論を再確認することで、生きた知識として活用していける
ように、しっかりと理解を深めていきましょう。
さらに、実験を通して、研究を行う時は、まず実験条件を確立することから始める場合も
あることなど、研究の進め方についても、学んでいきましょう。

by みなと