実務に向けた基礎固め

本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者化粧品製造業責任技術者化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。

さて、1年生は午後から定量分析(分析目的とする成分が「どれだけ」あるのかを調べる)実験に
取り組みました。定量分析にも色々な手法がありますが、今日は酸化還元反応を利用した滴定で、
分析対象は試料溶液に含まれる鉄分です。以前のブログでも鉄の分析方法の中で重量分析法を紹介
しましたが、どちらの方法にもメリットと、デメリットがあります。今日の滴定(容量分析)法は
短時間で分析できることが大きなメリットで、技術が向上すれば誤差も最小限に縮めていくことが
できます。そのような特徴があるため、公定分析法(国や公的機関などで定められた分析方法)に
多く採用されています。

この実験では、操作の一部分で数分間を必要とする化学反応(色の変化)を見ることができます。
その反応を全員でじっくり観察しました。今までの実験では、混ぜるとすぐに色が変化する反応が
多かったのですが、なかなか変化しません。約5分後に変色しました。

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色の濃い紫色から、ルビー色を経て、無色透明へと変化していきます。私が知っている化学反応の
中でも綺麗だと感じる反応の一つです。色が次第に薄くなり、ルビー色に変化する前後は学生から
驚きの声が聞こえてきました。このような驚きが興味に、その興味が知識・技術を高める秘訣なの
だと思います。Kさん(下の写真の左側)は、環境分析を通して環境保全に携わりたいと考えて、
化学分析コースに入学してきた学生です。実験後、次のように話していました。

 『この実験で用いた化学反応は、水質分析のでも利用されると聞いています。来年1月に
  その実験を行うことになっていますので、今から楽しみにしています。希望する業界で
  働くために、今日のような基礎的な実験でしっかり原理を理解したいと考えています。』

1年次の実験では、どのような業界の実務にも利活用できる知識・技術を修得します。このような
基礎的な実験としっかりと向き合い、それぞれが目指す将来との関係性を考えてほしいと思います。
来週は12月、本校所在地の大阪も寒くなってきました。体調に気をつけて来週も頑張りましょう!

by あずみ