片付けまでが卒業研究!

海藻 環境浄化

今日は2年生の卒業研究の担当日でした。通常の学生実験ですと、実験内容がカリキュラムで決められているので、学生達がどのような実験を行っているのかは分かっているのですが、卒業研究に入ると、それぞれの学生が自分たちで決めた卒業研究に取り組んでいるので、いろんな研究が実験室にあふれています。
まずは実験室から潮の香りが・・・。と見ると、ビーカーの中に海藻が入っているという見慣れない光景。思わずパチリと写真を撮りました。せんぱい先生の担当しておられる資源分析化学科のS君達の研究グループで、海藻に含まれているネバネバ成分のアルギン酸が有害な金属をどれくらい吸着するかを検討する実験だとか。工場排水などに含まれる有害な金属イオンなどの処理に、自然界で大量に発生し、その処分に困っているような海藻を使えれば・・・ということで研究をしているということでした。
研究自体は環境を守るためのものではありますが、逆に言うと、この研究には環境汚染につながる重金属を含む溶液を使うので、当然そういた廃液が出ることになります。実験室には廃液タンクが用意されているのですが、全班共同で使っているので、タンクが一杯になれば誰かが処理をしなくてはなりません。そんな中、この班のT君は実験の手を止めて、「タンクが一杯になったので廃液処理をさせてください」と申し出てきました。「誰がやってもいいけれど、誰かがやらないと絶対にいけないこと」というのは、とかく後回しになったり、誰かがやってくれるだろうと思いがちですが、自分自身が当事者としての責任を持ち、言われなくても自ら申し出るということが自然と身についている姿を見て、彼なら社会に出ても問題ないと思いました。

また、違う実験室に行くとクリーンベンチの前で乳酸菌とにらめっこしている班がおりました。生命バイオ分析学科のHさんたちの班で、私が近付くと、シャーレに育った乳酸菌を見せてくれましたが、彼らのテーマは「バクテリオシンを生産する新規乳酸菌の探索」というもので、アビー先生の担当しておられる研究グループ。バクテリオシンとは、「微生物が生産する抗菌性のタンパク質もしくはペプチド」のことですが、類縁菌に対して殺菌的に作用するため、食品の保存料として利用できるのではないかと注目されているものです。特に、乳酸菌の生産するバクテリオシンについては、世界中で積極的に研究が進められているものなので、彼らもやりがいを持って研究をしているようでした。やがて研究が佳境に入れば、アビー先生のように乳酸菌のことをわが子のように愛おしく思うのだろうと想像できるような研究風景でした。
byすくろーす