今日は微生物を醸し(かもし)ました♪

今日は生命バイオ分析学科のバイオ化学実験の担当でした。この実験では微生物や酵素、DNAなどを扱ったバイオテクノロジーに関する実験なのですが、今日の私の担当は微生物の培養(→育てること)基本操作でした。
学生たちは1年次に水質分析の中で一般細菌や大腸菌の検査を行った経験はあるのですが、本格的に微生物の実験を行ったのは初めてだったので、今回使用した大腸菌酵母、麹カビを珍しそうにマジマジと見つめていました。


ではまずちょこっとだけ今回の主役の3つの菌についてご紹介をしましょう。
まずは大腸菌。一般的には悪者扱いされることが多いのですが、実は彼らがいなければ、現代のバイオテクノロジーの発展には結びつかなかったという、バイオテクノロジーの世界では神様のような存在なのです。だから、皆さん彼らをあまり疎んじないでくださいね。


お次は酵母。糖からアルコールを作る性質から、酒造りには欠かせない存在です。日本酒メーカーの命とされており、その企業独自の酵母が金庫に厳重に保管されています。また、パンを作るときのイースト菌とは彼らのことです。酵母を培養した後、シャーレを開けると、ほんのりお酒やパンの香りがするのが特徴的です。


最後は麹カビです。デンプンを糖に変える性質(糖化と言います)を持ち、清酒造りでは、お米のデンプンを糖に変え、その糖を酒酵母に食べさせてアルコールを作ります。また、カビの持つこの酵素は、胃腸薬として市販されていることでも有名です。学名をアスペルギルス・オリゼーと言い、その愛すべきビジュアル(顕微鏡レベル)で、「もやしもん」という漫画では「おりぜー」と呼ばれ、大変人気のあるキャラとして確立しています。


ちなみに、「もやしもん」はアニメにもなっております。ここに紹介した微生物はもちろんのこと、他にもたくさんの微生物が登場するため、微生物学の副読本にしたいほど意外と勉強になる内容です。また、麹を発酵させて、酒・醤油などをつくる(醸造する)ことを「醸す(かもす)」と言いますが、この漫画の中では菌が増殖する(させる)ことの意味に使われています。菌自身が「かもすぞー」と発言しています。
興味のある方はどうぞ→http://www.kamosuzo.tv/top.html
(菌名鑑はこちら→http://www.kamosuzo.tv/dir.html


以上の微生物を前に、最初は「うわぁ〜気持ち悪〜!」と言っていた学生たちも、新しい培地(→微生物や植物の増殖や保存を目的とした栄養源を含む溶液または固体のこと)に自分たちが植菌(→微生物を新しい培地に移植すること)した後は、「いい子で元気よく生えてくるんだぞ〜」っと自分の子供に声を掛けるような勢いで自分の試験管やシャーレを眺めていました。うまく生えてるといいですね。次回のお楽しみに〜♪
(ちなみに下の2枚目の写真は、微生物たちのお食事となる試薬たちです。)

byすくろーす