熱さと時間と根気の勝負!

2年の資源分析化学科は、終日材料分析化学実験を行っていました。私が担当したのは、ガラス中の主成分であるケイ素の定量実験です。この定量実験は重量を天秤で量る方法と吸光光度計という分析装置を用いて測定する方法の2法を併せて行います。ですから一つのサンプルを測定するのに2日間を要します。この実験で結構難しく、時間がかかるのが重量を量る方法です。この方法の基本的な操作は1年生で実験済みですが、学生達もそのことは良く知っているので、作業の段取りや分担を手際よく行って実験を実施していました。但し分析対象がガラスですので、重量測定でも強い熱で熱して、これ以上重量の変化が起こらないようにするため、今回は電気炉を使って1050℃まで加熱しています。さすがにこの温度になると、電気炉の蓋を開けただけでももの凄い熱気が襲ってきます。耐火手袋をしていても、すばやく扱わないと熱気に耐えられません。このように強熱にしてから冷やして重量を量ります。この重量が変化しなくなるまで行います。時間と根気の勝負ですね。



さて、重量を測ると同時に、吸光光度計という分析機器を用いての測定も行い、両方の測定値からガラス中のケイ素を求めますが、全ての操作が終了した後、データーのまとめに取りかかりました。すると今回はどうも予測していた値より低い値が出たようです。この段階でははきりとした原因は分かりませんが、学生達の意見では、ガラス試料を薬品で処理して、ろ過した沈殿物を電気炉に入れる前の操作にガスバーナーを使った灰化という操作があるのですが、おそらくその灰化が十分行われなかったためではないかと推測していました。その推測があたっているにしろ、誤っているにしろ、よく実験プロセスを観察していないと、出てこない意見です。
1年生で修得した技術や知識の応用である2年生の実験は毎回身の回りのものを試料として分析を行いますので、本当に実用的な実験です。ですから即戦力としての力が付いてくるのです。そして集大成である卒業研究も近づいてきています。卒業研究では自分の持てる力を遺憾なく発揮して欲しいと思います。

by トトロ