100年以上前の技術が今も使える!学ぶ技術は一生モノ!

今日は資源分析化学科と有機テクノロジー学科1年生の基礎化学実験の日で、私の担当は「アセチルサリチル酸定量および確認」でした。

「アセチルサリチル酸」というと、難しく聞こえますが、実は「アスピリン」のことで、解熱・鎮痛剤として広く用いられています。今日は、このアスピリンが生まれた経緯をちょこっとだけご紹介しましょう。
昔から柳の樹皮は種々の痛み止めに効くと言われ、日本でも「柳で作った楊枝(ようじ)を使うと歯がうずかない」という伝承があり、柳の樹皮や葉に、鎮痛や抗炎症作用のあることが知られていました。
1826年になって柳から有効成分サリチル酸が分析化学の技術によって分離されましたが、副作用が強く、使い物になりませんでした。その後、紆余曲折あり、1897年にドイツにあるバイエル社の化学者フェリックス・ホフマンがサリチル酸をアセチル化することでアセチルサリチル酸を生成することに成功し、「アスピリン」という商品名で世の中にて出回るようになりました。こうして聞くと、遠く昔の外国の物語のように聞こえますが、実は皆さんのおなじみのあのお薬の有効成分として使用されており、私たちは今も脈々とその恩恵に与っているのです。それが「バファリン」です。

このフェリックス・ホフマンが行ったサリチル酸からアセチルサリチル酸の合成を、学生たちが行い、その合成したものが本当にアセチルサリチル酸であるかどうかの分析をも学生自らで行ったのです。入学して間もない4月当初のたどたどしく実験をしていた頃の姿はもうそこにはなく、たった2ヶ月しか経っていないにもかかわらず、誰もがシャキシャキと実験をしている様子を見て、今日はちょっと感動した日でした。








ちなみに、詳しい実験方法については、先日のトトロ先生の化学分析コースの実験日の日記でご紹介されていますので、よろしければそちらをご参照ください。(トトロ先生の日記→http://d.hatena.ne.jp/bunseki/20100613

byすくろーす