誰もが通る、出発点をこえて

今日は、私アビーは資源分析化学科と有機テクノロジー学科1年生の実験を担当していましたので、その様子をレポートします!

実験の名前は「基礎化学実験」。基本的な分析や合成の技術を身に着けるための実験であり、ガイダンスなどを除くと、1年生は入学後、初めて本格的に実験がスタートした日とも言えます。真っ新な白衣を身にまとった1年生たちが、いよいよ実験へ移動しました。糊がパリッときいた、真っ白な白衣を見ると、本当にういういしく見えます。


さて、今日の実験内容は、薄層クロマトグラフィー(TLC)とガラス細工。
薄層クロマトグラフィー、と聞くと、耳慣れないかと思いますが、専用のシートに複数の色素を混合したものを染み込ませ、溶液の中に漬けて置くことで、どんな色が含まれているのか分離させる方法です。色によって、シートへのくっつきやすさが異なるため、くっつきやすい色は移動が遅く、くっつきにくい色は移動が早く進みます。複数の色素が混ざっていても、それぞれを分離させることができるのです。

この現象、実は身の回りにも見られる身近なものであり、例えば、水性ペンで書いた紙に水が垂れると、ペンの色が滲んで、例えば緑のペンの部分では黄色と青色のにじみができたりしますよね?まさにあの現象を利用した実験なのです。

実験は3〜4名の班員で協力して行いましたが、皆わいわい言いながら、楽しそうに取り組んでいました。


また、結果が出るまでの間は、ガラス細工を行いました。作ったのは、分析化学者には欠かせない必須道具「撹拌(かくはん)棒」と「ポリスマン」というもの。この先2年間あるいは4年間使い続ける自分専用の道具になりますので、学生たちはカッコいいものを作ろうと頑張っていました。



2年生乱入!そして実感された1年間の成長

1年生がガラス細工を熱心にしていると、たまたま器具を取りに来たなどの理由で通りかかった2年生の先輩達が、「あ!ガラス細工だ、懐かしい!」と足を止める姿が見られました。それも相当多くの2年生たちが(笑)。

本校の場合、毎年1年生の冒頭の実験で、まずこのガラス細工を行います。ですから、この実験はもちろん2年生以上の先輩達も過去に経験したものであり、彼らにとっては思い出深い、化学者としての出発地点なわけです。「懐かしいなぁ。あのときは右も左も分からんかったけど、今は楽しく余裕持ちながら実験を楽しんでいるし、何とかなるものやなぁ」などと当時のことを思い出し、自分の成長っぷりを実感した様子なのは、有機テクノロジー学科2年生のTさん。彼女は、1年生のSさんに向かって、「こうした方がいいよ」とアドバイスしたり、「カッコイイの作りや〜」と激励したりと頼もしい先輩っぷりを見せていました。下の写真はその様子をパチリ!

そしてここでも1年生に絡む、2年生の姿が。こちらは資源分析化学科2年生のN君とHさん。こちらでも「懐かしい!」を連呼しながら、「入学当時は不安もあったし、先生に言われるがままに動いていたけれど、今ではちゃんと自分で考えて自分で動けるようになった。あの時は先輩たちがすごいなぁって思っていたけど、気づけば自分もそうなっているもんだなぁ」としみじみ。そんなことを話す2年生の顔は、ちょっと大人びて見えました。

今ういういしく見える一年生たちも、1年後にはこんな風になるのかなと思うと、その日が待ち遠しいように感じられました。それまでは乗り越えることもたくさんあるかと思いますが、一緒に頑張っていきましょう!

byアビー