「分析化学者の鏡」と呼ばれるために

今日の実験室でも、いろいろなことがありました。

 本校では、週に2回実験があります。今日は、1年生の生命バイオ分析学科と医療からだ高度分析学科の学生が、定量分析実験をしていました。この実験では、後期の期間に大きく4つの実験を行います。私ぽてとも、その中の1つである中和滴定の実験を受け持っており、その時の様子をお伝えします。


 この写真に写っているN田くんは、福井県から来ています。入学当初から比べると、滴定操作も慣れ、一人暮らしをしながらも学校生活を楽しく過ごしています。普段の授業においては質問も多く、今日もこの実験をしながら「先生、授業に関する質問があります!」と、こちらも驚くタイミングで質問が飛んできました。それも、そのはず。実は来週から後期の中間試験が始まるため、学生も今までの授業内容を整理して、テスト勉強をしています。その突然の質問を受けながら、これだけ質問できるならば、テストも大丈夫だなと思いました。N田くんの実家では、このブログをご両親が楽しみにチェックされているようです。次に紹介するときには、さらに成長している姿をお伝えできると思います。


 さて次の写真では、何やら2人で滴定操作に使用するビュレットという器具を洗っています。この洗う操作を「共洗い」と言い、滴定操作に関わらず、実験するときに器具を洗う基本的な操作です。それをなぜか向き合って洗うこの2人。まさに、共洗い。いや、友洗い。
 
 右側のN道くんは、大学に進学してから本校に来た学生です。とてもいい体格をしており、スポーツも得意としています。大学時代は数学を勉強してきたため、本校に入学した当初は、化学はほとんど知らないか、ブランクがあり忘れているという状態でした。そのため、夏には基礎化学講座を受けて基礎を固め、今までのブランクを取り戻そうと日々授業と実験を真剣に取り組んでいます。大きな体格ですが手先は器用で、性格もとても優しいナイスガイです。おっと、褒めすぎると調子にのってしまうので、この辺にしておきましょう(笑)。入学時は、実験器具の扱いが全く分からないと言っていたN道くんですが、今は立派な分析化学者に向かって突き進んでいます。

 そして、もう1枚。
 下の写真で、手をあげて、どこを向いているのか分からない様子で写っているのは、Y岡さん。

 滴定操作などをする時、先程のN道くん達が洗っていたビュレットという器具を支えて立てる道具にスタンドという器具があります。それが、写真右奥に写っているまっすぐに突き出た棒です。その棒には、下に陶器製の台が付いているため、片付け方を考えないと場所を取ってしまいます。本校でもちょっとした倉庫のような中に片付けていますが、そこが乱雑になってきたので「ほら、綺麗になったでしょ。片付けときました。」と、自主的に整理して私に報告をしてくれました。「では、記念に1枚。」と、撮ったのがこの写真です。照れ屋さんなので、ちょっと横を向いています。
 
 実験でいい結果を出すためには、もちろん操作技術も必要ですが、器具を大切に扱う心や、整理整頓をして管理することが、実はいい結果を生み出す秘訣だったりします。恐らく、今日のY岡さんの実験は、絶対成功していることでしょう。この姿を見ていると、実験も成功して、片付けた本人もスッキリして、次に使う人も気持ち良く器具を使えるというサイクルが自然と生まれているように感じました。分析化学者としては、まだ「卵」かもしれませんが、将来は絶対に「鏡」と言われる人になってくれると信じています。