実験中に日本酒? 

卒業の前祝いにはまだ早い!

今週は、土日の二日とも、化学分析コース2年生の「卒業研究」を担当しました。
写真の学生が持っているのは日本酒、彼らは日本酒に関する研究に取り組んでいるのです。日本酒は冷や酒にしたり、お燗をしたり、そのまま呑んだりしますが、呑み方によって人間が感じる旨味は大きく異なります。また、従来日本酒は原料や水、醸造方法の選択、期間によって色々な旨味を持つ製品が作られ販売されています。その製造は職人さんの経験と感覚に頼っています。彼らは、自分たちの技術で、製造方法、呑み方で何が異なるのかを化学的に調べようと取り組んでいるのです。
本館の502実験室は常に彼ら二人きり。日本酒をお燗するときに、何とも良い香りが実験室に広がるのです。私達は終日、各フロアーを回って学生達と一緒にああでもない、こうでもないと取り組んでいるのですが、このフロアーは特に気になります。(苦笑)
普段は大人しいOさんが502実験室に用事で入ってきました。ちょうどお燗の真っ最中でその香りが広がっています。入室したとたん、彼女は何とも言えない満面の笑みに・・・九州出身で焼酎なら何杯でもいけると噂の彼女も、この実験が大変気になるようです。実験室はもちろん飲食禁止、舌で分析するのはご自宅でお願いします。(笑)

その他には化学分析コース1年生の「機器分析法Ⅰ」を担当しました。今日はガスクロマトグラフィーのまとめを行い、続いて蛍光分析法について勉強しました。蛍光分析計は、比較的簡単に高感度な分析を可能にする装置です。最近企業で普及してきたICP質量分析法も高感度な装置のひとつですが、蛍光分析法も決してひけを取りません。ある程度の制限はあるものの、1mL(ミリリットル)中の目的物質をng(ナノグラム)オーダーで分析することができるのです。1ngは1/1000000000g、すなわち10億分の1グラムです。

そろそろ「光分析」の神髄に近づいてきました。面白くなってきましたね。

by 英国チャレンジャー号