知らず知らずに育つ身近なものを見る目

今日の食品分析化学実験では、ビタミンB2の分析を行いました。
ビタミンB2というと豚肉などにたくさん含まれているビタミンですが、ほかの食品にもたくさん含まれています。その中でも今日は海苔(おにぎりなどに使う味付け海苔です)を使って、その中に含まれているビタミンB2の量を測定しました。
試薬としてのビタミンB2を分析するだけの技術なら、1年生の後半で学んだ機器分析化学実験の内容で十分出来るのですが、2年生では色々な実際の食品を使います。実際の食品を自分たちで選んで実験することによって、単に実験の技術を向上させるだけでなく、どんな食品にどんな成分が入っているのか。それを取り出して分析するにはどうしたらいいのか、有機的に結びつけて学ぶことが出来るのが特徴です。
今日は、みんな朝食にでてくるようなパック入りの海苔を持ってきていました。最初は真っ黒な海苔の中からどんな成分が取り出されるのかあまり想像がつかなかったみたいですが、試薬として購入してあるビタミンB2リボフラビン)を見てみると、みんなほかの食品をすぐに連想したようで、「先生、これってオロナミンCとか栄養剤とかに入ってるやつですよね?」など口々に質問してきます。さすがみんな鋭い。普段から自然と食品の色や匂いのことを気にして居るんですね。
,w240 ,w240
学生達の言っているとおり、ビタミンB2は多くの栄養剤に入っています。栄養ドリンクが蛍光色っぽい黄色い色をしているのは実はこのビタミンB2を初めとするビタミンB群のせいなのです。あの色は合成着色料だと思っていた学生もいたので、意外そうに見ている学生もいるようでした。
海苔からビタミンを抽出するのは意外と難しく、ドロドロに溶かした海苔を上手くろ紙が目詰まりしないようにろ過して、その濾液を反応させて測定できる形に変えて蛍光分光光度計で測定をしました。測定自体はごく短時間で終わるのですが、その手前が大変なんですね。でもその大変な分、学生達も結果が出たときは感動もひと一倍なようです。
昨日も卒業研究のPFDを提出し、卒業研究開始にまた一歩近づいた彼らですが、卒業研究でも途中の苦労は沢山あります。でもその分最後の達成感は大きいもの。頑張って欲しいと思います。


by ドラ一郎